紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

ディオニュソスの蛹 感想

最近では数少ない耽美的な世界を書かれる作家さんのひとり、小島てるみさんの新作『ディオニュソスの蛹/東京創元社/小島てるみ』を読んだので感想を。

ディオニュソスの蛹
ディオニュソスの蛹
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小島 てるみ 東京創元社 売り上げランキング: 20,542

【内容】

三浦しをん氏推薦――「神話と芸術が太古の闇を照らすとき、浮かび上がってくるのは うつくしく危険な獣、私たちのなかで眠る希望」

ナポリの町で一人生きてきた少年アルカンジェロのもとに、ある日ブエノスアイレスから亡き母に宛てた手紙が届いた。ブエノスアイレスへ移住したナポリの画家、麗しき流転の双子、血の絆をもたない男だけの一族、対立する兄弟レオンとアルカンジェロをつなぐカトリック伝統の「奇蹟の治癒絵画」。禁断の愛と秘められた傷が織りなす神話の迷宮。迷宮にとらわれた魂の、再生の物語。

(東京創元社サイトより)

【評価】

★★★★☆

【感想】

いや、もう、すごく美しい。

世界観や人のつながりが本当に美しい。

ギリシャ神話やカトリックの伝統絵画、芸術などを交えて展開される、兄弟の、母子の、父子の、夫婦の、兄妹の関係の修復(再生)の物語です。

難しい世界観なはずなのに、読みやすい文体と引き込まれる文章であっという間に読めました。読み始めは早く結末を知りたいとずんずん読んでいたのですが、読み終わればもっとゆっくり読めばよかったと後悔するぐらいに素敵な作品でした。

小島さんの作品にしばしば登場する主人公たちが成長するためのステップが神話や伝説や芸術や歴史と混ざり合い、素晴らしい色彩を放ちます。

また、小島さんの作品に出てくる禁断の愛はどれも美しく、心奪われます。最後の兄弟のシーンとて、BLというのではない。そんな俗っぽいものではない。魂と魂がふれ合い共振し、泣き叫ぶような、そんな印象を受けます。

個人的にアルカンジェロを魂の奥から求めるレオンの描写が好き。切なく胸を掻き毟られました。そう、愛って痛いのよね。

耽美すぎるということはないので、美しいものが好きな人にはぜひ読んでほしいと思う作品です。

エピソードのアルカンジェロとレオンの物語がもうちょっと欲しかったから星は4つで!