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紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

BORDERS感想―春日泰子記者へのレポート

幕が上がったら、タナトスが始まると思っていた。 私が実際に見たSAIさんの舞台はマッチ売りの少女とイト2014で、そのどちらもタナトスの匂いがしていた。だから今回もタナトスの話だと思っていた。テーマがインタビューウィズバンパイアって聞いていたし。

でも幕が上がり、インタビュアーにして狂言回し、春日泰子(ハルビタイジって読むんだよ)のくるくる変わる動的な演技を見て今回は何か違うぞとワクワクしてきた。

60代にして20代の外見を持つ謎多き写真家、篠森紀道のインタビューを偶然(故意に)行えることになった春日。 紀道の過去、恋、ボーダーズ…様々な証言が紀道の生きてきた道を明かす。大きな何かに飲まれそうになる。

途中ハプニングが起こり、びっくりするのだが、ぜひそれは見て確認して欲しい。

私が好きなのは(と言っても全部好きだから特にというか)ボーダーズ襠と紀道の印象的な出会い、愛の交換、アラン・レネの二十四時間の情事、ネバーカムモーニング、オンザロードの約束…写真の撮り合いっこ。 こんな美しい愛の表現があるのかと思った。

襠と鋲と紀道が3人揃ってアメリカに行く話をするシーンも好きだ。暖かでつかの間の優しさを感じる。

やりとりといえば、舞台に笑いと興奮を連れてきた春日と熊田と淀川のトリオを忘れてはならない。 エネルギッシュで見ていて楽しい。回を重ねるごと暴走する熊田が本当に面白かった。体当たりがすごく伝わってきた。最後煙幕たいていてすごいなぁと。場を盛り上げるのにすごい腐心していた。 春日は若さ溢れる感じとこれまた体当たり感が良い。アングラ界のKING&HEAVYになって欲しいですね。

会見中、紀道が生まれて初めて自分の意志で血を吸う。 そして紀道の中で何かが吹っ切れて、爽やかに去っていくシーンは未来を感じさせて好きだ。 そしてエンドロール後の襠から紀道への約束。 これは死の物語ではない。優しい次の生へと続く物語だとようやく気づく。

忘れてはならないミズチのボーダーズ、除染作業員滑川の鬼気迫る憂国の熱情。迫真の演技でした。

全体的にエネルギッシュで起承転結がしっかりしており、すっと秘密の会見に入っていくことができた。俳優は皆魅力的で、静的な役者と動的な役者をうまく配置しているのでメリハリが出ていた。 格好よく美しかった。

謎か一つ。 チドリが他のボーダーズの血を吸うと吸われた方は死んでしまうのだそうだ。 では襠がしきりに紀道へ血を吸うことを求めるが、それの意味するところは…。

【役者さん一言感想】 ◎仲村弥生さん しっとりとした美しさがとても印象的。紀道と戯れてるシーンの仲村さんがとてもかわいらしくて好きです。

◎麻宮チヒロさん いや、なんだか今回はとても人間臭いなと。生きてしまっている人なんだなと。怒ったり笑ったりどの麻宮さんも素敵でした。

◎倉垣吉宏さん 格好いいお兄ちゃん。こんなお兄ちゃんに守られる襠が羨ましい! 麻宮さんとの絡み、西荻さんとの絡みがいい感じでした。

和田崇太郎さん 沢山動いて喋って、あなたがいたから舞台に火が宿ったのではないかと。これからが期待です。

西荻小虎さん 回を重ねるごとにはっちゃけて、9日マチネでからまれた時どうしようかと思いましたが、面白い人だなと。舞台を笑いの渦に包んだムードメーカー。

◎南条ジュンさん こてこて大阪の飲み屋のママを可愛く演じてくれて。すごく親しみがわいて好きでした。おきゃんな感じ。

◎前田紀美枝さん これまた可愛らしい大阪のおばちゃんを演じてくれました。天然ボケなところにとても癒されました。愛すべき!

◎伐子さん テライケメン。これでもかっていうほどイケメン。憂国の熱情のほとばしりがもう感動でした。

◎Cuu-さん 舞台にそっと添えられる音楽が本当に素敵で。ありがとうございます。

◎Asohgiさん アニアニでお医者さんとして出演。実はBORDERSの最後は医者とチドリの兄妹が会話するアニアニ版が好きだったり。素敵なお医者様役ありがとうございました。

◎斉藤ぴょんこさん(映像) 何とも美しく妖しいお医者さんだこと!

いや、落雷(後停電)や花火やいろんなアクシデントがある中で、無事大阪5ステージ走りきってくださりありがとうございました!

この夏思い出なんかできないなーと思っていたのですが、くっきりはっきり素敵な思い出として刻まれました。 あと、舞台見るまで元気なかったのですが、舞台見たらすごく元気になった。笑ったり、感動したり、心がくるくる動いて楽しかった。 本当にありがとうございました。

またいつかどこかで。

※追記。

紀道が会見中壁に向かって、「君、ねえ君…」って呼びかけるシーンで、「違う」って否定してから春日に「君がインタビュアーでしょ」って語りかけるシーンが今頃じわじわ来ている。あれは襠を呼んでいたのだ。そしてラストの襠も紀道に呼びかける。なんと美しき愛。 DVD出たら何度も見そう。。