紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

チェリーブロッサムへ――幾度目かの喪失の春

愛しのチェリーブロッサム

お元気ですか。
あなたに手紙を書くのは久しぶりで、
少しどぎまぎしています。
ええ、あなたのことは忘れていませんよ。
昔ほど強くはないですが、
心の片隅でぼんやりいつも想っておりました。

さて、春です。
日差しのまぶしさに毎朝驚いてしまいます。
もう何十年も春を迎え入れているというのに、
眩しさになれないでいます。

そして、桜のつぼみがほころぶのを見て、
やはり心が冷たくなるのです。
感傷なんだと思います。
あなたをなくして10年以上たったのに、
私はまだあなたを失った春が苦手らしい。
あなたをなくしたことが苦しいらしいのです。

あなたはいなくなったのではない。
私の記憶の中でずっと生きていると思うのね。

あなたのことを思い出すときは決まって、
私の理想願い信念理念だったあなたを想います。
もはやあなたは思想の一部となり、
それを糧に私は生きているのかもしれないなどと、
そんな風に思うのです。

もはや思想の一部のあなたなのに、
春になると痛みをもって私を責める。
早くこの痛みが何かに昇華されればいいと思います。

けれどね、願えるなら。
10数年前に時がもどせて、
全てを変えることができるなら。
…あなたに、ずっと生きていて欲しかった
それが私の本当の願いです。

ねえ、チェリーブロッサム
人とは、かなわぬことを夢見る生きものですね。