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紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

けんじかない駄文

次第に心の余裕をなくしている。受け取った手紙からそう読み取って、嘉内は心を痛めた。だから、かもしれない。学校を退学後一度もあっていない彼に――心友に再び会おうと思ったのは。
会った所で、自分は彼の望みをかなえることはないだろう。同じ道を目指そうと、誓ったあの頃からすでに時は過ぎ、互いに道は違え、そして彼の望む道はすでにして自分の求めるものでなくなっていた。だから、彼に会ったら、自分はきっと酷いことをいうのだろう。彼を傷つけるのだろう。
けれどそうすることで、彼の盲信を止めることができるかもしれない。
彼には才能も人格も教養もある。彼自身が気付いていないだけで、過小評価しているだけで、それらはすばらしいのに、彼はそれを見失っている。――それに気づいてもらえれば。
そうすれば、あの頃のように、もう一度、同じ夢を見て、岩手と山梨と場所は違えど、同じ理想を抱いて、行くことができればと。
嘉内は賢治からの手紙をそっと抱きしめて、そう願わずにはおれなかった。

 

続く?