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紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

中川多理人形展 「幻鳥譚 WINDー fragments 風のフラグメンツ」を見に行きました

桜舞い散る中、春秋山荘へ続く一本道を歩いていると、
まるで異界に迷い込むような、そんな感覚に襲われる。
目指す場所が、中川多理人形展 「幻鳥譚 WINDー fragments 風のフラグメンツ」の時点で、すでに異界に迷い込むつもり満々なのだけれど。

中川さんの人形は、傾国の美しさがある。
当人たちにその気はないだろうけれど、
彼女たちに微笑まれるだけで、瞳を合わすだけで、
心がざわざわして、いつまでも彼女たちの前にいて、
どんな動きも逃したくないような
(動いたりはしないのだけれど)
そんな気持ちにとらわれる。

白の間は(勝手に名づけた)、白い布がところどころ薄墨に染まっていて、まるで忘れ去られた雲の上の天界のよう。
そこに座る老天使たちの絶妙な美しさ愛らしさには心動かされずにいられない。
彩の間は(これも勝手に名づけた)、畳の上に極彩の着物が敷いてあり、その上に赤い瞳をキラキラと輝かせた2体の老天使たちが、寝そべり、こちらに手を伸ばしている。蠱惑的な赤いつま先についつい、その手に触れたい欲望に駆られ、惑わされる。

縁側にはゴシックな衣装を身にまとった、可愛らしい小鳥たちが。
鳥のお面をかぶって、顔を隠す子もいて、その仮面の下に隠された愛らしい顔立ちに心が満たされる。

そうそう、鳥頭のぐえーとなく、かわいい子もいた。いつまでも抱きしめていたいような柔らかい体の子(中川さんがその場にいて触らせて下さった。嬉しい)

いつもは寝ている水琴窟。
上体をおこして、透明なビー玉のような目でこちらを見ている。
対面すると、なんだか不思議な感覚にとらわれた。

ただ一人の男の子、群靑。
彼は、老天使の里に迷い込んだ迷い人だったのかもしれぬ。

春秋山荘の中は、この世ではないのだろう。
切り取られた、美しいものたちのみで、構成される世界。
こんな美しい世界を、見ることができて、私は幸福だと思った。

5月28日までの、金・土・日。
京都は山科の、春秋山荘にて。

中川多理人形展 「幻鳥譚 WINDー fragments 風のフラグメンツ」