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紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

一夜の恋の物語

徒然文

まえがき これは恋話 Advent Calendar 2015の4日目のエントリーです。

それは一夜の、 それもたった2時間ぽっちの恋でございました。

以前よりお名前と姿は存じておりました。 ツイッターやブログを拝見しては心をときめかせ、 一生に一度、生きている間に、いつか会いまみえることができればと、 そんな夢のようなことを思っていたのです。

思いはいつしか願いとなり、願いは思わぬ形で叶ったのでございます。

それは、9月のある晩のことでした。 月がきれいだったのを今でも覚えております。 大阪市中崎町にある小さなホールに、かの人が現れたのでございます。 かの人は、切れ長の瞳の美しく、顔の造作の整った、おかっぱ頭の長身の 左ききのセロ弾きでございました。 名前は、そう、左ききのゴーシュ、と。

かの人がパソコンに指をあて、 そして次に弓をセロの弦に這わせると、 妙なる調べがホールを満たし、 そこは、艶やかな桜の咲き乱れる空想の王国となりました。 美しい結晶に満ちた雪の世界になりました。 不死のヴァンパイアが歩く石畳に、 月夜の美しい砂漠になりました。 そしてそして、オルゴォルの音色と混ざり、 美しい夜明けを見せてくださいました。

その素晴らしさといったら!

見目麗しいかの人の饒舌なセロに私はもういちころにやられてしまって、 その一夜、 それもたった2時間ぽっちでございますが、 私は確かにかの人に恋焦がれ、ときめき、言い知れぬ想いを抱いたのでございます。

恋というものは、 泡沫のように現れては消え現れては消えを繰り返し、 心に優しい足跡を残していくものだと 私はこの頃そんな風に思うのです。

9月の月の美しい晩、想いの泡沫がこぽこぽとわき出でて、 左ききのセロ弾きに私はひとときの恋をした。

これはそんな恋の話でございます。