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紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

教師 宮沢賢治のしごと 感想

心がささくれだっている時に読んで、こんな先生がいたらなぁと思わず感動した『教師 宮沢賢治のしごと/小学館文庫/畑山博』の感想を。

 

教師 宮沢賢治のしごと (小学館文庫 は 16-1)

教師 宮沢賢治のしごと (小学館文庫 は 16-1)

 

 

【あらすじ】
教師・宮沢賢治の感動の授業を再現!
月の夜、そば畑の花があまりに美しいので、一人でそこで泳いでしまう先生でした。
いつも服やズボンのポケットの中を、何かしらない宝物でいっぱいにしている先生でした。
私が、この今の人生を全部投げ出してでも、生徒になって習いたかった先生でした。(略)
その先生の名は花巻農学校教諭宮沢賢治。この世で一番美しい、あの物語「銀河鉄道の夜」を書いた作者です。(本文より)

大正10年から15年まで、宮沢賢治は故郷・花巻の農学校で教鞭をとった。
公式だけでは絶対に解けない代数の問題。
生徒たちを二班に分けて競わせた英語のスペリング競争。
土壌学の授業では、地球の成り立ちをまるで詩のようにうたいあげ、肥料学では、一枚の細胞絵図から生命の記憶を説き起こす。
そして、まだ生まれたばかりの『風の又三郎』や『春と修羅』の作品群を生徒たちに朗読して聞かせたという国語の授業――。

教え子たちの心に忘れがたく刻まれた幻の授業がよみがえります!
小学館サイトより

【評価】
★★★★☆

【感想】
宮沢賢治の、そう長くない人生の中で、これまた短い期間、賢治は教師として教壇に立っていた。
それは知っていた。というか、賢治は教師をしているか羅須地人協会にいるかしかのイメージしか最近までなかった。
(アザリアに出会って、国柱会のことや心友保阪嘉内についてなど、いろいろ知ったわけですが)
で、この教師人生。
教えている方もすごく楽しそうだったし、生徒も楽しそう。
教科書を読まない、賢治独自の視点で教えられる勉強の数々。野外授業。まだ本にもなっていなかった作品たちを聞くことができた生徒たち。
羨ましいに尽きる。
順風満帆とはいかなかったらしいけれど(己のふがいなさのために、教室で突然チョークを食べだした宮沢賢治というエピソードにつぼった)
それでも、自分の掲げる理想を子どもたちにコップの水を移し替えるように、教えようとしたんだなぁ。
今から見てもかなり先進的な授業をしていたようで、そもそも宮沢賢治が賢かったから、というのもあるのだろうけれど、彼独自の人生観というか、世の中を俯瞰する力というか、理想、があって。それを伝え続けたんだなぁ。賢治なりのやり方で。
そして、それを許してくれていた、同僚や校長の存在はすごく大きかったんだと思いました。
まあ、賢治の教師になった理由を妹トシにだけ寄るのは、ちょっと残念でした。
農村理論などはアザリアメンバーと培ったと思うので。
1988年に出た本の文庫化なので、いま、この著者が、アザリア研究を知ったなら、また違う論点も生まれたかとも思いますが、この本はそれで完成しているので、それはそれでいいかと思いました。

しかしこんな先生に出会えていたらな…。
宮沢賢治やっぱり好きすぎる。はい。