紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

炎の蜃気楼20.5~28巻 感想

 (この記事は昔mixiに書いていたレビューをうつしたものです)

 

炎の蜃気楼(ミラージュ)シリーズ 番外短編集 砂漠殉教 (コバルト文庫)
 

 【あらすじ】
霊霧の中に姿を消した高耶を探して、直江は東京に戻ってきた。前生で知り合いだった村内を訪ねた直江は、黒木という若い情報屋を紹介される。一方、換生者の肝を狙う一蔵が直江にまとわりつき…?

【好きなせりふ】
直江信綱上杉景虎に殉じる人間です。私はあのひとに殉じて生きる存在です。千年先も。永劫――p.75
私は幻を追うんじゃない。蜃気楼を現実のものにするために、行くんです。p.81

【感想と妄言】
直江の高耶を求める旅が始まった。
浮かばせてはならない微笑を、あんな悲しい微笑を浮かばせたまま、行ってしまった高耶を直江は止められなかった。だから探すのだ。
彼が直江にとって命そのものだから。彼がすべてだから。気がついたから。どこまでも追っていく、それがたとえ望まれていないことでも。
直江は高耶さんに殉じて生きる存在なのだから。

 

 【あらすじ】
阿蘇での一件以後、譲は、武田の手に落ちていた。譲の持つ弥勒菩薩の力を得て、信玄は『闇戦国』制覇に動きはじめるのだった。また、綾子は織田に捕らえられ、人質としての日々を送っていた。織田の同志として綾子の前に現れた見知らぬ男は、意外にも…。一方、直江に別れを告げた高耶は、ひとり四国の山中に潜んでいた。そこで出会った記憶喪失の潮に高耶は不審な気配を感じるが…。

【好きなせりふ】
『生きる』ことそのもの、それ自体への、復讐じゃp.264

【感想と妄言】
高耶さんが生きるということを実感しながら生きているのは、実は赤鯨衆と一緒にいるようになってからだと思う。
生きることを真剣に考える。嶺次郎たちと出会ってしまったから。
肉欲に突き動かされて、直江を呼ぶ高耶さんが切ない。その行為がどれだけ浅ましくても、直江を想ってするということが、切なくさせるのだ、多分。


 

 【あらすじ】
「星の岩屋」は岩盤が崩れ落ち、祠は何か大きな力で吹き飛ばされていた。裂命星を先に奪われ、怒りをこらえる直江だったが、かすかに残った高耶の気配を感じるのだった。裂命星を奪った赤鯨衆は、白地城攻略を前に嶺次郎と草間の対立が深まっていた。衰弱している高耶は、白地攻めの遊撃隊長に抜擢されるが…。一方蘭丸の命を受け、裂命星を狙って織田の刺客が迫りつつあった。

【好きなせりふ】
上杉を捨ててくあんたが、面白かったからだろp.12
存在を許されない者を、天が許すはずがないp.66
だってそうだろう? 人間は己を救うものだけにだけ、跪く生き物なのだからp.192

【感想と妄言】
どこにいても大将になってしまう高耶さんはすごい。
鬼八の念を操れるようになったのもすごい。
やっぱり高耶さんはすごいのだ。
肉体を失って、違う体に換生した千秋との戦いはやっぱり胸が締め付けられるようになる。お互い戦う相手を間違えてるよ!
直江は、鮎川を心配させすぎですね。

 

 【あらすじ】
剣山で裂命星を護りきってから、高耶は赤鯨衆の新たな熱源となっていた。高耶自身、赤鯨衆を仲間として受け入れつつあるようだった。裂命星を足摺まで輸送するため、特別遊撃隊として室戸の猛者たちが高耶の配下に加わった。だが、中川は高耶を景虎の換生者ではないかと、疑いを持つのだった。一方高耶を探して祖谷に向かった直江は、山中で大きな黒い毛むくじゃらの怪物に遭遇するが…。

【好きなせりふ】
孤独とは本当は、存在の美しさや愛しさの後ろ姿のようなものなのかもしれませんp.53
青は心を洗う。魂を洗うp.104
彼をくれ。水よりも酸素よりもp.209

【感想と妄言】
闘争に目覚めていく高耶さんは美しい。戦う獣だ。
見ているだけで気分がいい。そしてその実力に圧倒される周りの人間のざまを見ると笑いたくなる。
高耶さんは、こんなにもすごいだろう?
昔の直江――400年前の――に似た男、兵頭の出現で、いろいろ変わり始めている。楽しい。
ミホを妹呼ばわりする直江がおかしかった。
次は尋問だ!

 

 【あらすじ】
上杉景虎が赤鯨衆に捕縛された。高耶の身柄は草間の手に預けられ、尋問が始まった。しかし尋問とは名ばかりで、草間は募りに募った怒りと憎しみを景虎にぶつけるのだった。なんとか高耶を救おうとする中川は嶺次郎にかけあうが、逆上した嶺次郎は中川の話を聞こうとしない。高耶という軍団長を失った前線には動揺が走っていた。そんな時、傷だらけの高耶の前に、兵頭隼人が姿を現すが…。

【好きなせりふ】
在り続けるために、あなたを求めている者たちがおるがですp.131
罪でもいい。あなたのためなら罪でもかまわない!p.157
エゴでいい、罪でいい。どれだけ世界から罵られてもいい。(もうおまえを苦しませない)p.182

【感想と妄言】
青白い月の下で、暗い断崖のうえで二人は再びであった。
まるで何かの引力に導かれるように。いや、実際は、引力でもなんでもなく、直江のひたむきな想いと、高耶さんの直江を捨てきれない弱さが招いた再会だけれども。
補陀洛の門で再会した二人は、浄土の夢を見ることを赦されるだろうか。

 

 【あらすじ】
赤鯨衆に戻った高耶は、傷が癒える間もなく戦闘に復帰した。鷹の巣砦の陥落を聞いた時から、高耶の心はひとつのものに向かっていたのだ。伊達の新型兵器の前に敗れた鷹の巣砦の有り様は無惨で、遊撃隊で無事が確認されたのは、十名だけ。兵頭すら安否が確認されていなかった。直江を気づかう高耶は、嶺次郎に直江の正体をあかそうとする。その時口屋内が攻め込まれたという連絡が入った。

【好きなせりふ】
自分を卑下するから負けるんだ。おまえらは心ですでに負けてるんだ。勝てとは言わない。だが負けないことはできるp.20
救いも解決も道は生の中にしかないp.76
あなたのそばにあり、護ることが私の規範であり正義ですp.124
勝てると信じるなら必ず勝つ! 自分の強さを信じろ!―中略―信じられないなら、オレが信じる!p.190

【感想と妄言】
名せりふがいっぱいで困ります。
特に結団式のシーン。
高耶さんのオレが信じる!の言葉に何度救われたかわかりません。
一方で、直江も高耶さんを止めるのに必死で、悲しい。
あなたの大地を忘れないように。
込められた思いが切ない。 

 【あらすじ】
直江が高耶に『事実』を告げる時が来た。ごまかそうとして黙っていたわけではない。これから明かそうとすることが、高耶からどれほどのものを奪うかと思うと、言いだせなかったのだ。「あなたに、魂の終わりが近づいています」容赦ないほどに、冷酷なほどに、直江は事実を語り続ける。間近に迫る魂核爆発死を告げられ、高耶は最後の決断を迫られるが…。

【好きなせりふ】
私はあなたになりたいから、ひとつになりたかったのだと思っていました。だけど本当は、ひとつになれないから、あなたになろうとしていたのかもしれませんp.37
……橘義明は出て行きました。ここにいるのは、ただの直江信綱ですp.39
――全ての罪は、自分で背負うp.155
……終わりを見つめて生きていたら、終わりまでしか生きられない……。そう思わないか、直江p.127

【感想と妄言】
お久しぶり、清正とか、目覚めたんだね、潮とか、いろいろあるんですが、やっぱり見てしまうのは高耶さんなんだ。死の宣告をされてもなお生きようとするその姿勢がとても痛いんだ。
見ていられないのに見てしまうんだ。どうか神様、と思う。
どうかこの人を救ってください。こんな真摯な生き方をする人を殺さないでください。祈るから.。

 

 【あらすじ】
ミホの襲撃を退けた後、高耶と白装束の遍路は、四万十川の川岸までやって来ていた。弘法大師空海を殺したという遍路から、高耶は「山神」や「裏四国」に関する衝撃的な事実を聞いた。霊場結界が消滅すると、四国に天変地異が起こるというのだ。牛鬼たちを引き止め、結界の破壊をやめさせようとする高耶だったが、ミホの鉈に塗られていた毒が体に回りはじめ…。

【好きなせりふ】
オレはそのときにこそ、世界に敗北を認めるp.21
上杉の二文字は、わたしにとって血よりも濃い。誇り以上の名前ですp.70

【感想と妄言】
終わりを知ってから、ますますひた走るようになってしまった高耶さん。その強さが直江を不安にする。
急いで急いで生きることへの復讐? そんな生易しいものではないだろう。
残された時間、直江と目指す最上のあり方を、どう模索するのか。なのだろうか。

【あらすじ】
総攻撃の時が来た。高耶と赤鯨衆の船団は「国崩し」を擁し宇和島湾の防備の突破を図り、陸上軍も必死に宇和島を目指していた。迎え打つ宇和島城内には、復讐の鬼と化した伊達政宗と、裂命星の欠片を手にした信長の操り人形・小次郎。村上水軍も伊達の援軍として南下を開始する。高野山が送り込んだ「黒の僧兵」。霊場結界の破壊に動く「山神」たち…。ついに『怨讐の門』完結。

【好きなせりふ】
私の願いは死なない。……きっとこの世界の最後の粒子になるp.129
あの男に手を出したら、オレがその人間に報復する。むろん私怨だ。p.272
あなたが滅ぼさないなら、俺が滅ぼしてやる!p.320

【感想と妄言】
直江の前に立ちふさがる敵は伊達でも織田でも赤鯨衆でもなく、最愛なる高耶さんだった。
二人の最上のためにと、言う高耶さんを、失えなくて、
真っ向から直江は対峙する。けれど勝てない。圧倒的な強さを誇る高耶さんに直江は勝てない。
どうして勝てないのか。譲れないのに。これだけは、絶対に譲れないのに。