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紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

霊応ゲーム感想

今年一番のヒットではないか(私の中で)という本に出会ったので感想を。 『霊応ゲーム/パトリック レドモンド/早川文庫』

霊応ゲーム (ハヤカワ文庫 NV レ 5-1)
パトリック レドモンド Patrick Redmond 早川書房 売り上げランキング: 807

【あらすじ】 1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。しかしある時から、クラスで一目置かれる一匹狼のリチャードと仲良くなる。二人が親密になるにつれ、ジョナサンをいじめる悪童グループの仲間が一人、また一人と不可解な事件や事故に巻き込まれていく……彼らにいったい何が? 少年たちの歪んだ心を巧みに描いた幻の傑作 (ハヤカワオンラインより

【評価】 ★★★★☆

【感想】 あとがきに、出会わなければよかった二人。みたいな記述があったのですが、まさに、リチャードとジョナサンが出会わなければ、校長夫婦も、ラテン語教師夫婦も、歴史の先生もジョナサンのルームメイトもリチャードの継母と生まれてくるはずの子どももみんな不幸にならなかったのに。という話です。

私的な感想ですが、たくさんの登場人物それぞれの物語が破たんせず、伏線もすべて回収されて終焉へと向かう見事さに舌を巻きました。

最後まで読むと、リチャードとジョナサンが行った(であろう:本編でその描写があまりに少ないため推測でしかないのですが)日本でいうところのこっくりさんの霊的力によって、沢山の悲劇が生み出されたように落ち着きます。

ですがそれは最後まで描かれないことで、人間がそもそも持っている後ろめたさや心の闇が何かの拍子に表に出て、不幸への道筋をたどってしまった、と理解します。

問題を抱えたそれぞれの人々の描写が圧巻でした。

最初は分厚いな、最後まで読めるかなと思っていましたがそれは杞憂。むさぼるように読み、この分厚さでも足りないのではないか、むしろこの分厚さでこんなにまとめてすごいとさえ思いました。

たかだか14歳の孤独な少年が、憎悪に駆られ世界を憎み、その憎しみに寄り添う気弱な少年が現れたからと言って、その二人が自分たちに悪意ある世界を不幸のどん底に導く、というのはやはりどこか無理があるような気がします。

だから少年二人は不安定な世界という水面に石を投じただけなのでしょう。その波紋が思いのほか広がり、彼らの憎悪に連鎖して、事件が起こっていく。

完璧のように見えた先生たちの、仮面が外れていくさまが面白かったです。

独占欲の強い少年、パブリックスクール、秘密のゲーム、など萩尾望都が好きな人にはドンぴしゃで心に響くのではないかと思います。おすすめです。

ジョナサンとリチャードの関係は途中までは好きなので、その次元のままとまってくれたらよかったのにな、という思いで☆4つです。 ベッドで腕枕とか美味しい。