紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

11月8~9日舞台芸術創造機関SAI「イト2014-変異する演劇」 感想

11月8~9日、大阪市中崎町の天然芸術研究所で、舞台芸術創造機関SAIの「イト2014-変異する演劇」を見ました。

以下感想とか覚え書き。

この作品は、 当日ワークショップに集まった参加者とSAIの倉垣吉宏さん、TETRA。さん、音楽担当のCuu-さん、Asohgiさんによってつくられた即興芝居。 特に当日参加の演者は、台本を持ち、台本に縛られ、縛られながらも自分なりの表現を出しながら、一生懸命演じていた。

SAIの演目は、わかりやすいとは言い難い。主人公以外は役がかわるがわる入れかわる。また、大掛かりな場面転換の舞台装置がないため、世界がいつ変わったかわからず、後で思い出すと、あの時あの空間は前のシーンとは全く違う世界だったのだなと思う。

観客と舞台の境界もあいまいで、型がない。限定されていないから、初めて見ると戸惑うけれど、限定されてないから自由に想像できる。

内容について

イト2014-大阪-は、

架空現実を生きる少年ヒカルと、

現実を生きる少年クラゲ、

世界を救済するためにつくられた自己成長型プログラム人格セカイ

を中心に紡がれた「信頼」の物語。

勝手な解釈をしよう

でも私には、 ネトゲに夢中で、ぼっちであるがゆえに自分を擁護する人格「タタリ」を生み出した少年クラゲが、当たり前の日常としてあった父母を失った。

それから父母が求めたいい子になり、父母がいた幸せな時間を取り戻そうと研究者になり、自分の分身「タタリ」を元に、世界を救済するプログラム人格をつくる。

クラゲは、プログラムを攻殻機動隊に出てくるような電脳世界に放ち、様々な情報を収集させる。そして、プログラムは、同じく電脳を漂うヒカルという少年に出会い、「セカイ」と名付けられる。

ヒカルは、同じ日を同じ会話を同じ何かを繰り返す。かすかな違和感はやがて大きな疑念となり、クラゲにたどり着く。

「セカイ」が世界を救済するためのプログラムなら、「ヒカル」は過去のクラゲの記憶を核に、クラゲ(の思考や魂といったもの)を救済するためにつくられたシステムではないかと思う。

ヒカルは、何度もセカイに出会い、変えられない世界を何度も繰り返し、クラゲの絶望にたどり着く。

ただそのなかで、何を選択すればこの状態が変わるかを考える。ヒカルは自己成長し、止まったまま絶望の中にいるクラゲを救い出すために、何度も向こうの世界に行こうとするクラゲを引き留める。何度も腕をつかんで、強く握りしめて。

クラゲはいってしまうけれど、少しずつ状況は変化している。クラゲを引き留める時間は現に少しだけ長くなっていた。

セカイは感情を覚え人を模し、ヒカルはそのセカイと共にクラゲの生き様を疑似体験をしながらクラゲの心の救済を試み、クラゲが救済されれば、この円環の世界も救済される(=本当の結末を迎える)

のではないかと思いました。

これは、2日間見て、幸運にもいただけた台本も読みつつ、自分の中で再構築した話なので、人によって全然違うよ! となるかもしれません。

しかし、倉垣さんが解釈はその人の心のうちに見たいなことをおっしゃってくれたので、私の中のイト2014はこんな話です。

役者さんなどについて

主人公ヒカルを演じられた、TETRA。さん。

セカイと嬉しそうに会話したり、家族の中で戸惑ったり、叫んだり、孤独に絶望して天を仰いで涙ぐんだり、いろんな姿を見せてくれました。いやぁ、素敵でした。

台本を破る姿が本当に美しく、絵になって、ドキドキしました。

クラゲ、演出、あらゆる役をこなした倉垣さん。

ある時はコンダクター、ある時は影、ある時は懊悩、絶望する少年、と全身で演技されていて、呑まれてしまいそうでした。

立っている時とうずくまっている時の落差が、感情のふり幅をうまく表現してるなぁと思いました。

音楽担当のCuu-さん、Asohgiさん。

意識しないでもそこにいる、意識すると場面に応じたすごく自然な音楽を奏でてくれている。音が溢れたり鎮まったりすることで、舞台の臨場感が素晴らしく増したと思います。

1日目参加者の皆さん

台本を忠実になぞり、体で演じようとする方たちでした。倉垣さんが「ぷりぷり」してくださいというと、戸惑いながらも自分なりの「ぷりぷり」を体で表現していました。

即興はほぼ初めてで(アフタートークでそんなことを言っていました)手探りで、役を表現するのに苦労したのだなぁと、思いました。

2日目参加者の皆さん

台本から飛び出て、声などを使った演技で役を追求する方たちでした。父母のセリフが、大阪弁に変換されていて、役をいかに自分に引き寄せようとしているかがわかって面白かったです。

倉垣さんが操らなくても自律して動く、セカイのような存在だなぁと思いました。

最後に

普段は東京で活動されているSAIさんが、大阪にやってきて、この即興劇を見せくれたことが、奇跡のようだなと思いました。

またこんな機会があると嬉しいです。

はい。

東京公演頑張ってください!