紅宝石少年

ゆきやの読んだ本や行った場所を紹介する気ままブログ。ブログタイトル「紅宝石少年」は、大すきな漫画カストラチュラから。

舞台炎の蜃気楼昭和編散華行ブルース 感想

2014年からはじまった、炎の蜃気楼昭和編舞台化が2018年(今年)を持って環結しました。
最初は、怖いもの見たさで、次は舞台という原作の二次創作を楽しむ感じで、生き生きした彼らに会う為に、見つめねばならない気がして、見届けるために、とだんだん見る意味が変わっていった。
正直、前作紅蓮坂ブルースで、あそこまで、ミラージュを体現されてしまうと怖かった。怖くて仕方なかった。
2004年本編完結時、あのラストに深い傷を負ったから。それが癒えるまでとても長い年月が必要だったから。この舞台を見て、みんなが死ぬと知りつつ、私は翌日笑って生きて行けるだろうか…?
そんな不安を抱えながらの上京、8月12日マチネ公演を拝見しました。

 

阿蘇の不安を掻き立てる様な風音ののち、緊迫したムードの中幕があきました。
紅蓮坂のラストのおさらいから始まり、直江と美奈子の逃避行。狂って行く直江。
そしてオープニングはいつものスタイリッシュなものではなく、ただ静かなアヴェ・マリア
美しいまでのプロジェクトマッピングの雪(光?)。何か込み上げてくるものがありました。
本を読んだときは、美奈子は菩薩のような高貴な女性のようにしか受け止めていなかったのですが、舞台の美奈子は普通の女性で、怒ったり苦しんだり泣いたり、美奈子をすごく身近に感じました。
どんどん狂っていく直江。ああ、直江だ。直江がここにいる。思春期の頃、触れて火傷するかと思ったあの暗い情念を抱えた直江がいると、思わず嬉しくなりました。
要所要所で原作を読んで好きだったセリフがきちんと挟まれており、音で聴くとこんな風になるんだとか感心していたら、

嵐の中の罪のシーン。
いやもう、すごい臨場感で、胸が苦しくなりました。そして美奈子の「望みはいつか叶う」。眼球が涙で潤んでしかたなかったです。
一方で景虎たちの方も苦戦を強いられて、その中で色部さんが、もう、本当に癒やしで、色部お父さんと呼びたいぐらい父性が強くて優しくて、心の安らぎでした。
なんだかんだ文句言いながらついてきてくれる長秀も心強かったし、心配ばかりしてくれる晴家も救いの一端を担っていました。

前半60分で息も付けないほどでしたけれど、後半90分はもっと凄まじいものを孕んでいました。
直江が美奈子を強姦した事を、小田原での強姦記憶をもつ景虎が凄まじく悲嘆しながら、直江との切れない鎖を手に入れ、直江を手に入れたと内心喜んでいることに気づく景虎。このシーン、DVDで何回も再生したいですね。
直江と美奈子が捕まったら、真っ先に直江の方を助けに行く景虎様だしね。
直江の子を妊娠し、その子どもを景虎として産むと決意した美奈子。
美奈子の子に景虎を換生させたいという願いを知り、動揺する直江。
美奈子の子に換生し、産子根針の法の呪具になろうと思っていた景虎(そして強力な力を直江に託そうとしていた)、
三者三様の思いがありましたが、結果的には、信長との戦闘の最中、景虎が物理的に死にます。くるぞくるぞと思って見ていたけれど、胸が苦しくなりました。そして美奈子への換生。
ここからの小野川さんの演技がハイパースーパーすばらしくて、この方が美奈子でよかったなぁと心底思いました。
美奈子の記憶を知る景虎様のシーンすごく泣いた。
そして、色部さんと景虎様のシーンは泣きすぎて前が見えない。鏡の中を見ると美奈子がいるんだというシーン。苦しい息が出来ない。
そして、最終決戦で、戦いに挑む5人。ああ、みんな死んじゃう(色部さん以外)。死んじゃう。見続けるのがつらい。でも見届けなければ。そのためにここに来たんだから。
戦闘シーンは圧巻で。殺陣も格好よくて、安心して見ていられるというか、クオリティが高い。あと映像と音との組み合わせがすごく綺麗で、引き込まれました。
個人的に、高坂さんの身の軽さに驚き、スタイリッシュでした。
夜叉衆も強いけど、信長は強くて、強すぎて、晴家、長秀、直江が逝き(景虎様の悲嘆の大きさよ)、景虎様も信長と相打ちになって、くらきほとりへと行ってしまう。
もう終わりにしたいと願う、景虎に景勝を守れという、謙信。あの場所には戻れないと拒否しながら、夜叉衆の面々が自分を探しているのを見て、直江が自分を呼んでいる、生きようとしていることをみて、記憶をまっさらにして、生まれ直す事を実行する。

「直江、今度こそお前とオレの最上の場所へたどりつくために」(うろ覚え)

そして黒スーツ直江! サングラス! ひー、一部の直江だ! 何かに気づいたように一瞬立ち止まり、歩き始めると、ひー! 高耶さん! 高耶さんだ! 高耶さんが直江に声をかける。鈴の音がする。桜の花びらが舞う。
環結の瞬間でした。

カテコは、五十嵐さん。コメントが素朴。そして、安田ー!(本人)長秀〜!(客席)散華行ー!(本人)ブルース〜!(客席)五十嵐ー!(本人)ポンコツ〜!(客席)
で、会場がわっと笑いに包まれて、やっと緊迫した舞台の糸が切れました。
カンパニーの皆さんが、魂削って毎回毎回やっているんだなぁとひしひし感じました。

こっちも魂がえぐれる思いで、見ていましたが、見終わると、本編最後を読んだ悲しさのような鬱屈はちっとも浮かばず、かえってスッキリしました。
本当にこれ以上ない終わり方で、環結してくれたからだと思います。
本当にありがとうございました。
なんかほぼ直江と美奈子と景虎様のことしか書いてませんが、色部お父さん好きだし、マリーのドレス姿また見れて嬉しかったし、長秀の不器用な優しさに本編ラストを思わされて惚れたし、高坂スタイリッシュだし、信長重みあったし、ハンドウ忠義者だったし、織田軍半端なく格好よかったし、信長化鉄二のキリッとした感じ、八海、八神の軒猿見れて幸せだったし、殺陣衆の動きキレッキレで凄かったし、柳楽さん癒しだったし、なんかもう、みんな大好きです!

 

都合1回しか見れませんでしたが、見届けることができて本当によかったです。私の理想であり願いであり信念である炎の蜃気楼が、舞台という形をとって、3次元にやってくることに、不安を抱いていた2014年夜鳴鳥ブルース開演前の私へ、今、自信を持って言えます。舞台の上に、ミラージュが、確かにあった、と。

 (都合1回しか見られなかったので、舞台の変遷を見ることができなかったのは口惜しいですが、1回でも見れたから、あとはDVDに頼ります)

そしてまた本編がとても愛しくなりました。ゲーム二周目でストーリーが変わる?みたいな。

何も変わらないのにね。

読む人の心が変わるのだけれどね。

 

(余談:赤いバラ祭壇にバラ持って行ったのですが、出来上がり楽しみですね)
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