花が甘いということを教えてくれるのは、
季節の花が咲くたびその花の花托をついばむ鳥たちだが、
人間がそうやすやすと花を手折り、その花の花托に唇を寄せ、
花の蜜を吸うには人の目が気になる。
そんなことを考えながら、梅の咲くころ、中国の奥地でしか取れない白梅を乾燥させた花茶の存在を知った。
取り寄せて、花を椀にこぼし、お湯を注ぐ。
梅の香りが立ち上がった。
花茶を口に含むと、梅干しでしか知らない梅の味が、確かに舌の上を這っていく。
うまい。
そして、梅の花は砂糖でつけなくても十分甘いのだと、至福の時を味わった。
黄山雪梅。
心にとめておきたい花茶だった